どうしようもないネタメモブログ。
ツッコミ可。空月のツッコミ返し有。
原稿とかで忙しい時はこっちで更新してます。
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「お兄ちゃん」
花井は振り返り、驚いた。そこにいたのは双子の妹の片割れで、こちらを見上げている。驚いたのは最近色気づいてきた?もしくはそこらの女の子と同程度に兄に対して距離を置くようになった妹が、思いのほか至近距離にいたからだった。
まあ花井自身恥ずかしくてどうも突き放してしまうこともたびたびではあるのだが。
「なんだよ」
ちょっとぶっきらぼうすぎたかと自分でも思ってしまうほどの声音で問われ、しかしそんなことには慣れっこの妹・あすかはにやりと企み顔で花井の顔を覗き込む。
「お兄ちゃん、明日楽しみにしてるね!」
「・・・明日ぁ?」
明日何かあっただろうか。別に普通の平日だし、特に何かあるわけでもない。
首を傾げた花井のその反応を予想していたらしいあすかは、仰々しく呆れたようにため息をつく。いっちょまえに大人びやがってと花井は微妙な気分になった。
「だからお兄ちゃん、キャプテンなのにモテないんだー」
「はあ!?」
「はるかー、やっぱりお兄ちゃん忘れてたよ、ホワイトデー!」
「は・・・」
あ。
花井は昼間の事を思い出した。
練習帰りにコンビニで水谷がお菓子コーナーを物色していた。田島が自分で作って返すと言ったのをやめておけと泉がとめていた。栄口は案外得意だから手作りだよと笑っていた。
そうか。そう、だから、か。
花井はぐるりと首を回して壁の時計を確認した。女の子がいる花井家は門限に厳しいから十一時を回ると外に出してもらえない。十時二十分――大丈夫、まだ時間はある。
ポケットに自転車の鍵を確認すると、花井は玄関へ走り靴に足をねじ込んだ。ドアを開けると冷たい外気が肌を撫で、寒い。
息をすぅ、と吸い込んで外へ歩き出そうとした、矢先。
「頑張ってねー、三橋さんへのお返し!」
「教えてあげたんだから、あたしたちのぶんもよろしくねー!」
「知るか!こちとら小遣いほとんど使い切って今ヤバいんだよ!」
そっくりな笑顔に見送られ、花井は近くのコンビニへ自転車を漕ぎ出した。
「あー、あのな、三橋」
「う?う、うん・・・」
「これ、その・・・・・・バレンタインの、お返し、な」
「あ・・・!」
「あーあーあー、なんていうか、お世話になってる・・・のかわかんねえけども・・・まあ、一応、うれしかったから」
「あ、あああありが、あり、が・・・」
「いや、無理しなくていいから!」
「う、ううん、おれ、うれしい・・・!」
「そっ、か・・・」
ポケットに手を突っ込むと、ちゃり、と音を立てる百円玉が二枚。
ま、とりあえず目の前のこの子が喜んでくれたのなら。
――仕方ねーか。
「三橋」
「う、ん?」
「今日の練習の後――付き合ってくんね?」
それ相応の報酬を。
終
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まるで花井家話のようになってしもた。でもハナミハ。
「「報酬ですって?お兄ちゃんたら、それは口実って言うのよ?」」
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