どうしようもないネタメモブログ。
ツッコミ可。空月のツッコミ返し有。
原稿とかで忙しい時はこっちで更新してます。
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三月十四日。ボンゴレ十代目の執務室を、追い出されました。
「ひでーよなー、うちのボスも」
雨が苦笑すると、雲が口角を上げた。仕事を終えたからなのか、表情が幾分疲れていて、幾分和らいでいるのが傍目にも分かる。
「めずらしいね、そんな文句」
「今日くらいはよくね?」
両手を天に向かってあげるポーズを取る雨を、嵐は睨みつけた。もっとも、彼が雨に対して見せる普段の顔と大差なかったが。
「馬鹿か。十代目はお忙しいんだ。だいいちここはイタリアだろーが」
お前らにかまっている暇はないとそっぽを向いた嵐を見、晴は腕を組んで唸る。
「まあ、お前の押して駄目なら引いてみろ作戦は、それほど悪くはなかったがな」
「うるせー!黙れ芝生頭!」
「うおっ?どうした、いきなり元気になったなタコヘッド!」
当てる気の無い嵐の拳が、晴をかすめて空を切る。
雷はそれを見て苦笑混じりに二月十四日のボンゴレ十代目の様子を思い出していた。デスクに積まれたチョコの山に、彼はいろいろと怒り心頭だったっけ。
誰にもチョコをくれないのはイタリアの風習に慣れたから、というわけではないのだろうと雷は思う。これだけ彼を思う輩が多いというのに、ボスは未だにそれをよくわかっていないところがある。
「仕方ないでしょうね。僕らはそんな彼に恋をしてしまったのですし」
霧の言葉にその場が押し黙る。
「恋・・・とは違うんだけどね、僕は」
「うーん、俺もなー。なんかそういうのとは違うのなー」
「お、おおおお俺は!十代目を心の底から!」
「俺はいつだって極限だぞ!?」
「あはは、だそうですよ。ちなみに俺も」
「・・・君たち、とりあえず僕の発言を否定したいだけじゃありません?」
クフフと霧が前髪をかきあげると、ばあん!と執務室の扉が開いた。
きょとんとした守護者たちに投げつけられるは、小さな箱。
「いい加減にしろ!うるさい黙れ!こんなんじゃ仕事にもならないし・・・これで我慢しろよな!?」
それだけ言うと蜂蜜色の髪をはためかせ、愛するボスはばたんっ!と扉を閉めてしまった。
「・・・・・・」
おとなしく人数分ある箱をそれぞれ開けてみると、入っていたのはマシュマロがたった一粒だけ。
彼らは顔を見合わせて苦笑した。
一粒を口に放り込み、それぞれの持ち場へ、仕事へ戻って行く。マフィアに休息など存在しないのだから。
だから、仕事を少しだけ抜け出して、自分たちの為にこの甘い甘い一粒を用意してくれた大空に、ボランティア並みの精神で、今日も奉仕しようではないか。
いつも、その至上の愛を注いでくれる沢田綱吉に、自分たちが返せる最上の菓子を。
終
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十年後。ツナ様はお強いの希望。
ほんとうは、うれしい、から。
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