忍者ブログ
どうしようもないネタメモブログ。 ツッコミ可。空月のツッコミ返し有。 原稿とかで忙しい時はこっちで更新してます。
[132]  [131]  [130]  [129]  [128]  [127]  [126]  [125]  [124]  [123]  [122
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

いつもの江戸パロ注意

雷市は街を見下ろした.自分の家は遠く,暮れようとする太陽の橙色に飲み込まれつつある.
江戸という街全体が,一つの絵のように見えた.
少年の背越しにそんな絵を見つめ,真田はほぅ,と息を吐く.
「真田さん」
雷市が言った.実力に裏打ちされた自信に満ち溢れた普段の声音ではない.
穏やかな.しかし確かに内に在る情熱を思わせる,しなやかに強い声.
雷市の後ろ姿は震えているようにも見えた.
「あいつは――なんで,あんなに辛いんですか」
長い台詞は感情の波を引き起こす.強がっている.そしてそれを見せないように必死に歯を食いしばっている.
なあ沢村.真田は思う.お前のことを想って,こいつは泣きそうなんだぞ.
「栄純は…なんで,辛いのに,ずっと笑ってんですか」
「…お前と,同じ」
素直な考えだった.
雷市は掠れた音を立てて息を吸い,吐いた.真田からも彼が目線を上げたのがわかった.
「俺は」
拳が握りしめられた.
真田は次に来る言葉を予感して一度深呼吸した.
「栄純を,助ける」
行くぞ.
小さく啖呵のように切られたそれに,真田は強く頷いた.
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
忍者ブログ [PR]
/Material By= /Template by ぴのん