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どうしようもないネタメモブログ。 ツッコミ可。空月のツッコミ返し有。 原稿とかで忙しい時はこっちで更新してます。
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ボンゴレの十代目を愛するってのがどういうことが分かるか?
それはシチリアの黒歴史を崇拝し、光に背を向け血に染まって生きてゆくことと同意だ。常に死の恐怖と隣り合わせ、決して息つく暇を弄ぶことなどできない。

すべてはただ、ボンゴレファミリーとドン・ボンゴレの血の為に。沢田綱吉個人ではなく、連綿と繋がったマフィアそのものの存在に、命をかけろ。

晴、雨、雷、嵐、霧、雲。
お前達が、ツナのすべてを守るんだ。
一切の妥協は許されない。



――ツナに、幸せでいてほしいならば。


08,08,15
(お題は「てぃんがあら」様)


家庭教師は空を見上げた。





ツナの幸せの形を自分達が決めてしまうことがエゴであることを彼は誰より知っている。
それでも、それでも。
彼はツナといっしょに生きたいと、思うんだろうと思う。


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十年後


「雲雀さんて、結構目立ちたがりですよね」
突然言われて面食らった雲雀は、ええ何を言ってるわけ綱吉、と綺麗な顔で美しく笑った。
笑顔の方が余程怖いというのはこのこと。綱吉は慌てて手元の書類に視線を落とす。
「綱吉」
デスク、綱吉の顔のすぐ横に突き刺さったトンファーがいやに黒光りする。
彼が本気でないことくらい心得ているが、慣れないものは慣れないし怖いものは怖い。
綱吉はホールドアップしながら身を引くと、楽しそうにこちらを見やる雲雀に苦笑して見せた。
「雲雀さん、これ高かったんですよー…」
「高かったらしい、でしょ。自分で買った訳じゃないだろうに」
確かにそのオーク材のデスクは仕事の付き合いで部下が手配して買ったものだったが、相変わらず手厳しいと綱吉は乾いた笑い声を上げた。
綱吉はボンゴレのボスだが、本当に必要な時以外は外に出ることを許されていない。理由は簡単、暗殺されるからだ。
昔からマフィア間の抗争などざらにあったが、最近は兵器の進化や術の開発が続き、マフィアの在り方自体が変化してきている。シチリア最大のボンゴレファミリーも余談が許されぬ状況である。
一つひとつの取引への神経が過敏になっていることもあり、綱吉も主要なもの以外は部下に任せていた。万が一の時のためにも精神面をやられるのはとにかく避けねばならない。
「まあ、別に何でもいいや」
雲雀はデスクに突き刺さったトンファーを引き抜く。木が軋み割れる音が響いたが気にせず、彼は綱吉へ背を向けた。
「あ、雲雀さ…」
「明日にでもナポリに渡るよ。これで今回の抗争は終わりだ」
客観的意見を述べたまでだった。もしくは一般的な見解を。
綱吉はホールドアップしていた両手を静かに下げて、しっかり頷いた。
「はい。ありがとうございます」
これから他人の命を奪いに行く人間に対してはあまりに不釣り合いだと、雲雀は思った。



血の雨。味方の血か敵の血か区別がつかない。
そして味方も敵も無いに等しかった。
雲雀はトンファーで向かってくるもの全てをなぎ倒し駆ける。
『雲雀さんて、結構目立ちたがりですよね』
常に前線に出ることを望む彼の率直な印象。
(あながち間違っちゃいない)
拳銃。剣。毒。薬。爆弾。
破裂し四散し集束し消滅する。
その繰り返しが頭の中ループし、時間感覚を追い込む。
戦いは雲雀の生きる舞台だ。この感覚が感じられなくなった時、自分は死ぬかもしれないとさえ思う。
(でも綱吉。目立ちたがりは他の奴らだって同じだろう)
特に守護者は皆、綱吉を守ろうと我先にと飛び出して、豪快に一掃してみせるのがお得意だ。
そう、誰だって綱吉に、血を見せたくはない。
それは単なる偽善だが、ボスに忠義ではない感情を寄せる彼等にとってはどうでもいいことだった。
雲雀は最後の一人を地に伏した。死んではいないかもしれないが当分動けないだろうし、最早ボンゴレ雲の守護者に向かってくる無謀な者などいはしない。
黒々としたナポリの空を見上げる。自身の黒い髪の間に見える夜空は、黒の幕のようにただただ黒かった。
「綱吉――」
真っ先に前線に向かうのも。ボンゴレの象徴のように目立とうとするのも。
『はい。ありがとうございます』
血を目一杯浴びた彼は、肉食獣のように吠えた。
泣いたようにも笑ったようにも響いたそれは、黒の空に包み込まれ、飲み込まれた。


君の不幸は全て僕に降ればいい
ヒバツナ
(一滴遺らず)


お題は「てぃんがぁら」様(Link頁より)
十年後


竹寿司の二階には息子の武の部屋がある。
そこからは並盛の町がよく見渡せた。
窓を開け放しているせいか、風鈴の音がうるさい程に響いている。
山本は窓枠に腰掛けて、じっと手紙を見つめていた。
とっくの昔に読み終わった手紙を何度も何度も読み返し、もう手紙はくたくたによれてしまっている。
読み終えて最初に戻り、また。
『山本へ――』
窓を開けているせいで、夏風が髪に吹き付け風鈴をかき鳴らし、手紙まで読みにくい。
それでも山本は目を細め、途切れず届く律儀な便りを幾度も読み返す。
「ツナ」
大切な人の名を呼んで、また最初へ。
彼の名をかたどる空気すら、彼が自分の中に存在しているのだと教えてくれる。
そう感じ、信じて。



竹寿司の二階には息子の武の部屋がある。
そこからは並盛の町がよく見渡せた。
ただ、海だけはどこにもない。


異国より愛と哀を込めて
山ツナ
(元気?俺は元気じゃありません。なぜって君がいないから!)



お題は「てぃんがぁら」様(Link頁より)
※十年後




はい、と手渡されたのはピンク色のリボンと包装紙で包まれた箱。やたら軽い。どうやらドッキリの類ではなさそうだ。
骸はクフフと笑って腰を折って一礼する。


「覚えていてもらえるとは光栄ですね」
「お前、自分の名前と誕生日鑑みたことある?」
「クフ、偶然ですよ、偶然」


どうだか、とあきれる綱吉に、手で開けてもいいかのサインを送る。どうぞ、と言わんばかりにサインを返された。
しゅるる、と耳を擦るような音を立ててリボンを取り去り、器用な、それでいて優雅な手つきで包装紙を開く。
中から現れたのは白い箱。
骸の細い指が蓋にかかり、そっと中を曝す。
何も入っていない、白い箱を。


「おめでとう、骸」


若干リアクションに困っていると、綱吉の顔にやわらかな笑みが浮かんだ。


「プレゼントは、お前のほしいものを何でもあげるよ」
「……それは」


綱吉の手を取り、口づける真似事をして。
しなやかな肉食獣、とでも言うべき光る目をしながら。


「君でも、ですか?」
「もちろん」
「…何でもないように即答されると、それはそれで微妙ですね」
「いつもお前がやってることだろ」


その通りに違いないと喉の奥で笑う。
そして「そう」ならば、綱吉も自分のことを愛してくれているということなのだと、勝手に思う。
そんな勝手が許されることに、喜びを感じずにいられるだろうか?(否!)


「では、僕のほしいものですが」
「うん」
「君の誕生日を、僕にくれませんか」


綱吉はその琥珀の双眸を瞬かせた。訝しさを理由にしたのではないその反応が楽しく愛しい。


「君の誕生日は、僕の好きなように過ごさせて下さい」
「…そんなんで、いいの?」
「ええ、そんなんで、いいです」


骸は笑った。人を食ったような一線を引いた笑みではなく、綱吉のために出来る彼なりの精一杯の笑顔で。




「君の幸せを、僕にください」








********************************

骸、お誕生日おめでとう。遅くなってすまぬ。
でも空月あんまり誕生日祝いSSとか書かないから、これは優遇措置なのですよ。


はっぴばーすでーとぅーゆー
はっぴばーすでーとぅーゆー
はっぴばーすでーでぃーあむっくろーう

…あれ?






三月十四日。ボンゴレ十代目の執務室を、追い出されました。



「ひでーよなー、うちのボスも」


雨が苦笑すると、雲が口角を上げた。仕事を終えたからなのか、表情が幾分疲れていて、幾分和らいでいるのが傍目にも分かる。


「めずらしいね、そんな文句」
「今日くらいはよくね?」


両手を天に向かってあげるポーズを取る雨を、嵐は睨みつけた。もっとも、彼が雨に対して見せる普段の顔と大差なかったが。


「馬鹿か。十代目はお忙しいんだ。だいいちここはイタリアだろーが」


お前らにかまっている暇はないとそっぽを向いた嵐を見、晴は腕を組んで唸る。


「まあ、お前の押して駄目なら引いてみろ作戦は、それほど悪くはなかったがな」
「うるせー!黙れ芝生頭!」
「うおっ?どうした、いきなり元気になったなタコヘッド!」


当てる気の無い嵐の拳が、晴をかすめて空を切る。
雷はそれを見て苦笑混じりに二月十四日のボンゴレ十代目の様子を思い出していた。デスクに積まれたチョコの山に、彼はいろいろと怒り心頭だったっけ。
誰にもチョコをくれないのはイタリアの風習に慣れたから、というわけではないのだろうと雷は思う。これだけ彼を思う輩が多いというのに、ボスは未だにそれをよくわかっていないところがある。


「仕方ないでしょうね。僕らはそんな彼に恋をしてしまったのですし」


霧の言葉にその場が押し黙る。


「恋・・・とは違うんだけどね、僕は」
「うーん、俺もなー。なんかそういうのとは違うのなー」
「お、おおおお俺は!十代目を心の底から!」
「俺はいつだって極限だぞ!?」
「あはは、だそうですよ。ちなみに俺も」
「・・・君たち、とりあえず僕の発言を否定したいだけじゃありません?」


クフフと霧が前髪をかきあげると、ばあん!と執務室の扉が開いた。
きょとんとした守護者たちに投げつけられるは、小さな箱。


「いい加減にしろ!うるさい黙れ!こんなんじゃ仕事にもならないし・・・これで我慢しろよな!?」


それだけ言うと蜂蜜色の髪をはためかせ、愛するボスはばたんっ!と扉を閉めてしまった。


「・・・・・・」


おとなしく人数分ある箱をそれぞれ開けてみると、入っていたのはマシュマロがたった一粒だけ。
彼らは顔を見合わせて苦笑した。
一粒を口に放り込み、それぞれの持ち場へ、仕事へ戻って行く。マフィアに休息など存在しないのだから。
だから、仕事を少しだけ抜け出して、自分たちの為にこの甘い甘い一粒を用意してくれた大空に、ボランティア並みの精神で、今日も奉仕しようではないか。



いつも、その至上の愛を注いでくれる沢田綱吉に、自分たちが返せる最上の菓子を。








********************

十年後。ツナ様はお強いの希望。
ほんとうは、うれしい、から。


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