どうしようもないネタメモブログ。
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十年後
「雲雀さんて、結構目立ちたがりですよね」
突然言われて面食らった雲雀は、ええ何を言ってるわけ綱吉、と綺麗な顔で美しく笑った。
笑顔の方が余程怖いというのはこのこと。綱吉は慌てて手元の書類に視線を落とす。
「綱吉」
デスク、綱吉の顔のすぐ横に突き刺さったトンファーがいやに黒光りする。
彼が本気でないことくらい心得ているが、慣れないものは慣れないし怖いものは怖い。
綱吉はホールドアップしながら身を引くと、楽しそうにこちらを見やる雲雀に苦笑して見せた。
「雲雀さん、これ高かったんですよー…」
「高かったらしい、でしょ。自分で買った訳じゃないだろうに」
確かにそのオーク材のデスクは仕事の付き合いで部下が手配して買ったものだったが、相変わらず手厳しいと綱吉は乾いた笑い声を上げた。
綱吉はボンゴレのボスだが、本当に必要な時以外は外に出ることを許されていない。理由は簡単、暗殺されるからだ。
昔からマフィア間の抗争などざらにあったが、最近は兵器の進化や術の開発が続き、マフィアの在り方自体が変化してきている。シチリア最大のボンゴレファミリーも余談が許されぬ状況である。
一つひとつの取引への神経が過敏になっていることもあり、綱吉も主要なもの以外は部下に任せていた。万が一の時のためにも精神面をやられるのはとにかく避けねばならない。
「まあ、別に何でもいいや」
雲雀はデスクに突き刺さったトンファーを引き抜く。木が軋み割れる音が響いたが気にせず、彼は綱吉へ背を向けた。
「あ、雲雀さ…」
「明日にでもナポリに渡るよ。これで今回の抗争は終わりだ」
客観的意見を述べたまでだった。もしくは一般的な見解を。
綱吉はホールドアップしていた両手を静かに下げて、しっかり頷いた。
「はい。ありがとうございます」
これから他人の命を奪いに行く人間に対してはあまりに不釣り合いだと、雲雀は思った。
血の雨。味方の血か敵の血か区別がつかない。
そして味方も敵も無いに等しかった。
雲雀はトンファーで向かってくるもの全てをなぎ倒し駆ける。
『雲雀さんて、結構目立ちたがりですよね』
常に前線に出ることを望む彼の率直な印象。
(あながち間違っちゃいない)
拳銃。剣。毒。薬。爆弾。
破裂し四散し集束し消滅する。
その繰り返しが頭の中ループし、時間感覚を追い込む。
戦いは雲雀の生きる舞台だ。この感覚が感じられなくなった時、自分は死ぬかもしれないとさえ思う。
(でも綱吉。目立ちたがりは他の奴らだって同じだろう)
特に守護者は皆、綱吉を守ろうと我先にと飛び出して、豪快に一掃してみせるのがお得意だ。
そう、誰だって綱吉に、血を見せたくはない。
それは単なる偽善だが、ボスに忠義ではない感情を寄せる彼等にとってはどうでもいいことだった。
雲雀は最後の一人を地に伏した。死んではいないかもしれないが当分動けないだろうし、最早ボンゴレ雲の守護者に向かってくる無謀な者などいはしない。
黒々としたナポリの空を見上げる。自身の黒い髪の間に見える夜空は、黒の幕のようにただただ黒かった。
「綱吉――」
真っ先に前線に向かうのも。ボンゴレの象徴のように目立とうとするのも。
『はい。ありがとうございます』
血を目一杯浴びた彼は、肉食獣のように吠えた。
泣いたようにも笑ったようにも響いたそれは、黒の空に包み込まれ、飲み込まれた。
君の不幸は全て僕に降ればいい
ヒバツナ
(一滴遺らず)
お題は「てぃんがぁら」様(Link頁より)
「雲雀さんて、結構目立ちたがりですよね」
突然言われて面食らった雲雀は、ええ何を言ってるわけ綱吉、と綺麗な顔で美しく笑った。
笑顔の方が余程怖いというのはこのこと。綱吉は慌てて手元の書類に視線を落とす。
「綱吉」
デスク、綱吉の顔のすぐ横に突き刺さったトンファーがいやに黒光りする。
彼が本気でないことくらい心得ているが、慣れないものは慣れないし怖いものは怖い。
綱吉はホールドアップしながら身を引くと、楽しそうにこちらを見やる雲雀に苦笑して見せた。
「雲雀さん、これ高かったんですよー…」
「高かったらしい、でしょ。自分で買った訳じゃないだろうに」
確かにそのオーク材のデスクは仕事の付き合いで部下が手配して買ったものだったが、相変わらず手厳しいと綱吉は乾いた笑い声を上げた。
綱吉はボンゴレのボスだが、本当に必要な時以外は外に出ることを許されていない。理由は簡単、暗殺されるからだ。
昔からマフィア間の抗争などざらにあったが、最近は兵器の進化や術の開発が続き、マフィアの在り方自体が変化してきている。シチリア最大のボンゴレファミリーも余談が許されぬ状況である。
一つひとつの取引への神経が過敏になっていることもあり、綱吉も主要なもの以外は部下に任せていた。万が一の時のためにも精神面をやられるのはとにかく避けねばならない。
「まあ、別に何でもいいや」
雲雀はデスクに突き刺さったトンファーを引き抜く。木が軋み割れる音が響いたが気にせず、彼は綱吉へ背を向けた。
「あ、雲雀さ…」
「明日にでもナポリに渡るよ。これで今回の抗争は終わりだ」
客観的意見を述べたまでだった。もしくは一般的な見解を。
綱吉はホールドアップしていた両手を静かに下げて、しっかり頷いた。
「はい。ありがとうございます」
これから他人の命を奪いに行く人間に対してはあまりに不釣り合いだと、雲雀は思った。
血の雨。味方の血か敵の血か区別がつかない。
そして味方も敵も無いに等しかった。
雲雀はトンファーで向かってくるもの全てをなぎ倒し駆ける。
『雲雀さんて、結構目立ちたがりですよね』
常に前線に出ることを望む彼の率直な印象。
(あながち間違っちゃいない)
拳銃。剣。毒。薬。爆弾。
破裂し四散し集束し消滅する。
その繰り返しが頭の中ループし、時間感覚を追い込む。
戦いは雲雀の生きる舞台だ。この感覚が感じられなくなった時、自分は死ぬかもしれないとさえ思う。
(でも綱吉。目立ちたがりは他の奴らだって同じだろう)
特に守護者は皆、綱吉を守ろうと我先にと飛び出して、豪快に一掃してみせるのがお得意だ。
そう、誰だって綱吉に、血を見せたくはない。
それは単なる偽善だが、ボスに忠義ではない感情を寄せる彼等にとってはどうでもいいことだった。
雲雀は最後の一人を地に伏した。死んではいないかもしれないが当分動けないだろうし、最早ボンゴレ雲の守護者に向かってくる無謀な者などいはしない。
黒々としたナポリの空を見上げる。自身の黒い髪の間に見える夜空は、黒の幕のようにただただ黒かった。
「綱吉――」
真っ先に前線に向かうのも。ボンゴレの象徴のように目立とうとするのも。
『はい。ありがとうございます』
血を目一杯浴びた彼は、肉食獣のように吠えた。
泣いたようにも笑ったようにも響いたそれは、黒の空に包み込まれ、飲み込まれた。
君の不幸は全て僕に降ればいい
ヒバツナ
(一滴遺らず)
お題は「てぃんがぁら」様(Link頁より)
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