どうしようもないネタメモブログ。
ツッコミ可。空月のツッコミ返し有。
原稿とかで忙しい時はこっちで更新してます。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「亮介さん.亮介さん?」
なんだよ.寝てるんだよこっちは.
「あれ…寝ちゃってる!」
わかったならあっち行きな.っていうか見ればわかるだろ.
「うむむ,今日こそ聞こうと思ってたのに」
勿体ぶって唸ってもお前がやるとおかしいだけだから.
お前も体が辛いならとっとと寝ればいい.明日も早いんだ.
「亮介さん――あの,どうして」
五月蝿いな.
「どうして俺とこんなことするんすか…?」
――五月蝿いって言ってるだろ.
明日にして
(答えなんて言いたくもない)
情事後の会話.
なんだよ.寝てるんだよこっちは.
「あれ…寝ちゃってる!」
わかったならあっち行きな.っていうか見ればわかるだろ.
「うむむ,今日こそ聞こうと思ってたのに」
勿体ぶって唸ってもお前がやるとおかしいだけだから.
お前も体が辛いならとっとと寝ればいい.明日も早いんだ.
「亮介さん――あの,どうして」
五月蝿いな.
「どうして俺とこんなことするんすか…?」
――五月蝿いって言ってるだろ.
明日にして
(答えなんて言いたくもない)
情事後の会話.
PR
携帯からテストです
優しく諭される位なら.
イタリア人は一日に五,六回バールを利用する.その度エスプレッソやらカプチーノやらコーヒーばかり飲んでいるのだが,量が少ないので驚くような話でもない.
ボンゴレ本部にはそんなバールがある筈もないので(ボスの一声があれば容易く作れるだろうが),給仕役に命じて仕事合間のコーヒーを楽しむのが皆の常だ.マフィアの幹部も下っ端も,それぞれが自分のコーヒーブレイクを満喫する.当然のように飲んでいる側の権力が強いほど,邪魔は御法度である.
無論,ボンゴレファミリー現ボスの邪魔を出来る程の権力者はこの空間にいない筈なのだ.
「休み時間なのに」
ため息を吐きながら砂糖を入れ,ミルクを注ぐ.ブラックが一番だと目の前の家庭教師に豪語されても,苦いものは苦い.眠気覚ましじゃないんだからと反論したのは,数日前だ.
スプーンでわざと音を立ててかき混ぜると,あからさまに嫌そうな顔をする子どもが可笑しかった.
「ごめん.冗談」
「ったく」
「だって」
涼やかな顔で笑ってみせて,綱吉はエスプレッソを口に運んだ.口と鼻に僅かな苦味が漂う.その邪魔にならないミルクと砂糖がやわらかな甘味で押し寄せる.
腕時計を見ると,そろそろ三時だ.
「もうすぐ取引相手が来るよ」
「あぁ」
綱吉は不思議そうに立ったままのリボーンを見上げた.座っていると少しだけ,彼の視線が上にある.
この間十四の誕生日を迎えた彼は,同年代の子どもと比べればやはり異質だが,所詮子どもである.まるい輪郭もひとつひとつが大きな顔のパーツも,隠しようがない.
体にぴったり纏った黒スーツは幼い肢体を露わにする.ツバの広い帽子も滑稽と言えば滑稽だ.
それでも彼は綱吉のただ一人の師で,殺し屋だった.
空気が唸った.静かに道を開けた様にも感じた.
額に突き付けられた銃口は,相変わらずよく磨き上げられている.執務室のあたたかなライトを浴びて黒光りした.
綱吉の鳶色の瞳が軽く瞬き,「あら」とか「おや」とか言いたげに口が動き,リボーンの唇に封じられた.
「――,」
「――甘ぇな」
口を離しての第一声に,綱吉は眉を顰めた.
手探りでコーヒーカップを手に取って,口へ.綱吉には丁度良いその味を,口の中で転がした.
「もうすぐ取引相手が来るんだけど」
「そうだな」
「嫌?」
リボーンは嘆息した.深く,深く.目は足先を見ていたが,銃はずっとそのままだ.
「寝るのか」
まるで――年相応の子どもみたいに.
「その必要があればね.俺はドン・ボンゴレだもの」
リボーンの両眼が綱吉を見た.
黒い,肉食獣のようだった.
ボスからコーヒー混じりの吐息が漏れた.
半月の形をしたその口が,素早く動く.
「――冗談だよ」
カチン
引き金が引かれ,火花が散った.
それだけだった.
固まったボスに,鼻で笑って.
「冗談だ」
『ヤキモチ?ばかだなあ』
『そんなんじゃないんだよ,大丈夫』
頭に降ってくる優しい手に誤魔化されるほど,腐っちゃいない.
「…趣味悪」
「黙れダメツナ」
「痛っ!?」
俺とこいつの距離はいつも,この位で.
終
瑞希様リク,リボツナで、リボーンがやきもち焼くお話。リボーンは13~15歳くらい。でした.
相変わらず変な話ですみません.何かアフタの珈琲時間みたいですね(笑)でも結構気に入っていたり.
HTML化したらちょっと変えるかもです.
瑞希様,素敵なリクありがとうございました!
イタリア人は一日に五,六回バールを利用する.その度エスプレッソやらカプチーノやらコーヒーばかり飲んでいるのだが,量が少ないので驚くような話でもない.
ボンゴレ本部にはそんなバールがある筈もないので(ボスの一声があれば容易く作れるだろうが),給仕役に命じて仕事合間のコーヒーを楽しむのが皆の常だ.マフィアの幹部も下っ端も,それぞれが自分のコーヒーブレイクを満喫する.当然のように飲んでいる側の権力が強いほど,邪魔は御法度である.
無論,ボンゴレファミリー現ボスの邪魔を出来る程の権力者はこの空間にいない筈なのだ.
「休み時間なのに」
ため息を吐きながら砂糖を入れ,ミルクを注ぐ.ブラックが一番だと目の前の家庭教師に豪語されても,苦いものは苦い.眠気覚ましじゃないんだからと反論したのは,数日前だ.
スプーンでわざと音を立ててかき混ぜると,あからさまに嫌そうな顔をする子どもが可笑しかった.
「ごめん.冗談」
「ったく」
「だって」
涼やかな顔で笑ってみせて,綱吉はエスプレッソを口に運んだ.口と鼻に僅かな苦味が漂う.その邪魔にならないミルクと砂糖がやわらかな甘味で押し寄せる.
腕時計を見ると,そろそろ三時だ.
「もうすぐ取引相手が来るよ」
「あぁ」
綱吉は不思議そうに立ったままのリボーンを見上げた.座っていると少しだけ,彼の視線が上にある.
この間十四の誕生日を迎えた彼は,同年代の子どもと比べればやはり異質だが,所詮子どもである.まるい輪郭もひとつひとつが大きな顔のパーツも,隠しようがない.
体にぴったり纏った黒スーツは幼い肢体を露わにする.ツバの広い帽子も滑稽と言えば滑稽だ.
それでも彼は綱吉のただ一人の師で,殺し屋だった.
空気が唸った.静かに道を開けた様にも感じた.
額に突き付けられた銃口は,相変わらずよく磨き上げられている.執務室のあたたかなライトを浴びて黒光りした.
綱吉の鳶色の瞳が軽く瞬き,「あら」とか「おや」とか言いたげに口が動き,リボーンの唇に封じられた.
「――,」
「――甘ぇな」
口を離しての第一声に,綱吉は眉を顰めた.
手探りでコーヒーカップを手に取って,口へ.綱吉には丁度良いその味を,口の中で転がした.
「もうすぐ取引相手が来るんだけど」
「そうだな」
「嫌?」
リボーンは嘆息した.深く,深く.目は足先を見ていたが,銃はずっとそのままだ.
「寝るのか」
まるで――年相応の子どもみたいに.
「その必要があればね.俺はドン・ボンゴレだもの」
リボーンの両眼が綱吉を見た.
黒い,肉食獣のようだった.
ボスからコーヒー混じりの吐息が漏れた.
半月の形をしたその口が,素早く動く.
「――冗談だよ」
カチン
引き金が引かれ,火花が散った.
それだけだった.
固まったボスに,鼻で笑って.
「冗談だ」
『ヤキモチ?ばかだなあ』
『そんなんじゃないんだよ,大丈夫』
頭に降ってくる優しい手に誤魔化されるほど,腐っちゃいない.
「…趣味悪」
「黙れダメツナ」
「痛っ!?」
俺とこいつの距離はいつも,この位で.
終
瑞希様リク,リボツナで、リボーンがやきもち焼くお話。リボーンは13~15歳くらい。でした.
相変わらず変な話ですみません.何かアフタの珈琲時間みたいですね(笑)でも結構気に入っていたり.
HTML化したらちょっと変えるかもです.
瑞希様,素敵なリクありがとうございました!
雪がちらつく冬の街.そこかしこに名残の電飾が輝いている.このまま正月まで流用するに違いない.まあ敬虔なクリスチャンではないし,責められる話でもない.
前を歩いてちょっと失敗したと思った.将の姿が視認出来ない.当たり前だが一馬は不安になった.振り返ったらいないんじゃないかとか,そういう友人に言ったら笑われそうなことで.しかし将はやたら人気者だし,小さいから見失いそうになるから油断出来ない.
思い切って振り返ると目があった.
「!」
「?」
にこ,と嬉しそうに微笑まれるのだからまた嫌になって,慌てて視線を戻す.そしてまた,自己嫌悪.
悪循環だと分かっている.将が少なからず傷ついていることも,知っている.
けれど分かっていてもうまく優しくしてやれない不器用なのが真田一馬なので,実際には将はさほど気にしていなかった.「クリスマス終わっちゃったけど…」と震える声で誘われたことの方が余程大事だ.真田君ほっぺた赤かったけど大丈夫かな,と鈍感なことを考えていたのは相変わらずだったけれど.
さっきから,二分に一回くらいの割合でちらりと振り向いてくれるのも,とても嬉しい(傍目から見ると妙なのだが).空気は寒いけれど,何だかぽかぽかした.
どこか店に入るのでもなく,会話が弾むでもない.ただ二人で歩いて,歩いて,歩いて――一馬がまたちらりと後ろを見て,将が微笑んで.
手を伸ばしたら触れられそうな,優しいあたたかな空気がぷわりと浮かんだ.
中途半端な話.
前を歩いてちょっと失敗したと思った.将の姿が視認出来ない.当たり前だが一馬は不安になった.振り返ったらいないんじゃないかとか,そういう友人に言ったら笑われそうなことで.しかし将はやたら人気者だし,小さいから見失いそうになるから油断出来ない.
思い切って振り返ると目があった.
「!」
「?」
にこ,と嬉しそうに微笑まれるのだからまた嫌になって,慌てて視線を戻す.そしてまた,自己嫌悪.
悪循環だと分かっている.将が少なからず傷ついていることも,知っている.
けれど分かっていてもうまく優しくしてやれない不器用なのが真田一馬なので,実際には将はさほど気にしていなかった.「クリスマス終わっちゃったけど…」と震える声で誘われたことの方が余程大事だ.真田君ほっぺた赤かったけど大丈夫かな,と鈍感なことを考えていたのは相変わらずだったけれど.
さっきから,二分に一回くらいの割合でちらりと振り向いてくれるのも,とても嬉しい(傍目から見ると妙なのだが).空気は寒いけれど,何だかぽかぽかした.
どこか店に入るのでもなく,会話が弾むでもない.ただ二人で歩いて,歩いて,歩いて――一馬がまたちらりと後ろを見て,将が微笑んで.
手を伸ばしたら触れられそうな,優しいあたたかな空気がぷわりと浮かんだ.
中途半端な話.
――高くないですか,それ.
――ヒャハ,安いっくらいだっつの!
――うむ.そのくらいはなぁ.
――….わかりました.
「ごめん」
降谷が言ったので,栄純は箸を止めた.
さすがに付き合いも半年ちょっとになる.ほとんどいつも通りの顔だが,それが如何に真剣で,焦っているか分かった.
二人の間を食堂の喧騒が流れ,栄純はじっと降谷を見つめた.
「どうした?」
「明日.クリスマスだけど」
栄純は目を瞬かせた.最近忙しくてクリスマスが近いことすら忘れていたし,何より降谷の口からそんな年中行事の名前が出るのは不思議な現象だった.
降谷はため息を吐くと,うなだれた.ぴんと背を伸ばしていると凛々しく見えるその姿が,丸っこくなってちょっと情けない.
「君に,プレゼントしようと思ったんだけど…お金,なくて,あんまりいいものじゃないかも」
栄純は目を見開いた.本日二度目のびっくりは,食べ物を口に含んでいなくてよかったと思うほどだった.
そもそもプレゼントを渡す約束なんてしていない.記憶を手繰り寄せてみてもそんな覚えはないのでそれを慌てて言うと,知ってる,とさらりと返事された.また面食らう.
「僕が,君にもらってほしいだけだから」
「や…でも…」
「何かもらえるなら,それも嬉しいけど」
「よ,用意してねーんだってば」
「だから僕があげるよ」
嫌?なんて尋ねられてしまっては,栄純には何も言えない.
おろおろ視線をさ迷わせる栄純を降谷がじっと見つめ,その更に後ろからは他の野球部の面々が,ぎりぎりしながら降谷を睨み付けていたのであった.
最後にクリスマスにプレゼントをもらったのは小学生のときだ.
――降谷,何くれるんだろ?
そりゃあ欲しいものは沢山ある.新しいグローブに野球雑誌,アンダーの替えはいくらあっても足りない.
――けど金ないって言ってたしなぁ….
栄純は寝返りを打った.多分お金のかからないものなんだろうが,逆にわからない.
降谷は不器用だから何かを作ったり出来ないだろうし,いいアイディアを思いつくほど頭が働くタイプでもない.
「クリスマスカード」というのが眠い頭で無理矢理考え出した答えだったが,降谷がクリスマスカードを書いているのはあまりにもシュールだと栄純は思った.ちょっと悪いかなと思いつつ,笑ってしまった.
気になるけれど今日もいつも通り練習があったので,正直眠い.
いつの間にか瞼は下りて,栄純は眠っていた.
ぼんやり起きてまず思ったのは,あったかいなあ,ということだった.朝練の鬼(自称)の栄純も冬の朝は寒くてなかなか布団から出られないのだが.不思議だなあと思って緩んだ瞼をのんびり下ろした.
冷気から逃げるように布団の中で丸くなると,声が振ってきた.
「かわいい…」
「………ふぇ」
栄純はまたゆるゆる瞼を動かす.
寝ぼけ眼を向けると,そこには降谷がいた.
栄純を抱き込むように,布団の中に.
「うっ…ぅわああああぁっ!?」
寮中に響き渡る大絶叫を至近距離で聞いた降谷は,眉根をぎゅっと寄せた.
栄純はそれどころではなく,目は白黒口はぱくぱくし続けている.見ていて飽きない.
「ば,ばか!何でこんな所にいるんだよっ!?」
当たり前の質問に降谷はさも当然のように言ってのけた.
「クリスマスおめでとう.栄純」
「へ」
目をまるくするその顔すら可愛いなあと思いながら,下の位置にある頭を胸に抱き寄せた.
瞬間栄純の顔がぼっと真っ赤になる.慌ててもがくが,ひっしと抱きしめられてビクともしない.
「離せ!」
「なんで?」
「なんでって…」
心底不思議そうに問われて栄純はふらふらと黒の双眸を伏せた.理由を聞かれると困ってしまう.
降谷はますます抱く力を強くし,ぽつりと言った.
「お金,かかったんだから」
不思議そうに見上げてきた栄純に,にこりと微笑んで,髪に顔を埋めた.
「ね,おめでとうって言って」
「…えぇ?」
「クリスマス,おめでとうって」
栄純は暫し降谷をまじまじと見つめていたが,観念したようにふうっと息を吐くと,彼の鼻先にちょんとキスをした.
「――っ,」
「クリスマスおめでと.…暁」
「――何でだよ!」
五号室前で怒り浸透な御幸に,倉持は呆れたように首を横に振った.
「ダメだっつの.今日の五号室は降谷の貸切だからな.あー,先輩達も帰って下さいね」
「うが.そういう訳だ」
『…っ!』
大量の高級プリンと新作ゲームソフトでしっかり買収されている五号室住人に,降谷以外の栄純好き達は一様に涙したのだった.
君と過ごす.
それが僕と君への,プレゼント.
終
降沢クリスマスはいつもより甘い.更に片想い度が低い!(笑)
HAPPY Xmas!!
(一応フリーです.お好きにどうぞ)
――ヒャハ,安いっくらいだっつの!
――うむ.そのくらいはなぁ.
――….わかりました.
「ごめん」
降谷が言ったので,栄純は箸を止めた.
さすがに付き合いも半年ちょっとになる.ほとんどいつも通りの顔だが,それが如何に真剣で,焦っているか分かった.
二人の間を食堂の喧騒が流れ,栄純はじっと降谷を見つめた.
「どうした?」
「明日.クリスマスだけど」
栄純は目を瞬かせた.最近忙しくてクリスマスが近いことすら忘れていたし,何より降谷の口からそんな年中行事の名前が出るのは不思議な現象だった.
降谷はため息を吐くと,うなだれた.ぴんと背を伸ばしていると凛々しく見えるその姿が,丸っこくなってちょっと情けない.
「君に,プレゼントしようと思ったんだけど…お金,なくて,あんまりいいものじゃないかも」
栄純は目を見開いた.本日二度目のびっくりは,食べ物を口に含んでいなくてよかったと思うほどだった.
そもそもプレゼントを渡す約束なんてしていない.記憶を手繰り寄せてみてもそんな覚えはないのでそれを慌てて言うと,知ってる,とさらりと返事された.また面食らう.
「僕が,君にもらってほしいだけだから」
「や…でも…」
「何かもらえるなら,それも嬉しいけど」
「よ,用意してねーんだってば」
「だから僕があげるよ」
嫌?なんて尋ねられてしまっては,栄純には何も言えない.
おろおろ視線をさ迷わせる栄純を降谷がじっと見つめ,その更に後ろからは他の野球部の面々が,ぎりぎりしながら降谷を睨み付けていたのであった.
最後にクリスマスにプレゼントをもらったのは小学生のときだ.
――降谷,何くれるんだろ?
そりゃあ欲しいものは沢山ある.新しいグローブに野球雑誌,アンダーの替えはいくらあっても足りない.
――けど金ないって言ってたしなぁ….
栄純は寝返りを打った.多分お金のかからないものなんだろうが,逆にわからない.
降谷は不器用だから何かを作ったり出来ないだろうし,いいアイディアを思いつくほど頭が働くタイプでもない.
「クリスマスカード」というのが眠い頭で無理矢理考え出した答えだったが,降谷がクリスマスカードを書いているのはあまりにもシュールだと栄純は思った.ちょっと悪いかなと思いつつ,笑ってしまった.
気になるけれど今日もいつも通り練習があったので,正直眠い.
いつの間にか瞼は下りて,栄純は眠っていた.
ぼんやり起きてまず思ったのは,あったかいなあ,ということだった.朝練の鬼(自称)の栄純も冬の朝は寒くてなかなか布団から出られないのだが.不思議だなあと思って緩んだ瞼をのんびり下ろした.
冷気から逃げるように布団の中で丸くなると,声が振ってきた.
「かわいい…」
「………ふぇ」
栄純はまたゆるゆる瞼を動かす.
寝ぼけ眼を向けると,そこには降谷がいた.
栄純を抱き込むように,布団の中に.
「うっ…ぅわああああぁっ!?」
寮中に響き渡る大絶叫を至近距離で聞いた降谷は,眉根をぎゅっと寄せた.
栄純はそれどころではなく,目は白黒口はぱくぱくし続けている.見ていて飽きない.
「ば,ばか!何でこんな所にいるんだよっ!?」
当たり前の質問に降谷はさも当然のように言ってのけた.
「クリスマスおめでとう.栄純」
「へ」
目をまるくするその顔すら可愛いなあと思いながら,下の位置にある頭を胸に抱き寄せた.
瞬間栄純の顔がぼっと真っ赤になる.慌ててもがくが,ひっしと抱きしめられてビクともしない.
「離せ!」
「なんで?」
「なんでって…」
心底不思議そうに問われて栄純はふらふらと黒の双眸を伏せた.理由を聞かれると困ってしまう.
降谷はますます抱く力を強くし,ぽつりと言った.
「お金,かかったんだから」
不思議そうに見上げてきた栄純に,にこりと微笑んで,髪に顔を埋めた.
「ね,おめでとうって言って」
「…えぇ?」
「クリスマス,おめでとうって」
栄純は暫し降谷をまじまじと見つめていたが,観念したようにふうっと息を吐くと,彼の鼻先にちょんとキスをした.
「――っ,」
「クリスマスおめでと.…暁」
「――何でだよ!」
五号室前で怒り浸透な御幸に,倉持は呆れたように首を横に振った.
「ダメだっつの.今日の五号室は降谷の貸切だからな.あー,先輩達も帰って下さいね」
「うが.そういう訳だ」
『…っ!』
大量の高級プリンと新作ゲームソフトでしっかり買収されている五号室住人に,降谷以外の栄純好き達は一様に涙したのだった.
君と過ごす.
それが僕と君への,プレゼント.
終
降沢クリスマスはいつもより甘い.更に片想い度が低い!(笑)
HAPPY Xmas!!
(一応フリーです.お好きにどうぞ)