どうしようもないネタメモブログ。
ツッコミ可。空月のツッコミ返し有。
原稿とかで忙しい時はこっちで更新してます。
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優しく諭される位なら.
イタリア人は一日に五,六回バールを利用する.その度エスプレッソやらカプチーノやらコーヒーばかり飲んでいるのだが,量が少ないので驚くような話でもない.
ボンゴレ本部にはそんなバールがある筈もないので(ボスの一声があれば容易く作れるだろうが),給仕役に命じて仕事合間のコーヒーを楽しむのが皆の常だ.マフィアの幹部も下っ端も,それぞれが自分のコーヒーブレイクを満喫する.当然のように飲んでいる側の権力が強いほど,邪魔は御法度である.
無論,ボンゴレファミリー現ボスの邪魔を出来る程の権力者はこの空間にいない筈なのだ.
「休み時間なのに」
ため息を吐きながら砂糖を入れ,ミルクを注ぐ.ブラックが一番だと目の前の家庭教師に豪語されても,苦いものは苦い.眠気覚ましじゃないんだからと反論したのは,数日前だ.
スプーンでわざと音を立ててかき混ぜると,あからさまに嫌そうな顔をする子どもが可笑しかった.
「ごめん.冗談」
「ったく」
「だって」
涼やかな顔で笑ってみせて,綱吉はエスプレッソを口に運んだ.口と鼻に僅かな苦味が漂う.その邪魔にならないミルクと砂糖がやわらかな甘味で押し寄せる.
腕時計を見ると,そろそろ三時だ.
「もうすぐ取引相手が来るよ」
「あぁ」
綱吉は不思議そうに立ったままのリボーンを見上げた.座っていると少しだけ,彼の視線が上にある.
この間十四の誕生日を迎えた彼は,同年代の子どもと比べればやはり異質だが,所詮子どもである.まるい輪郭もひとつひとつが大きな顔のパーツも,隠しようがない.
体にぴったり纏った黒スーツは幼い肢体を露わにする.ツバの広い帽子も滑稽と言えば滑稽だ.
それでも彼は綱吉のただ一人の師で,殺し屋だった.
空気が唸った.静かに道を開けた様にも感じた.
額に突き付けられた銃口は,相変わらずよく磨き上げられている.執務室のあたたかなライトを浴びて黒光りした.
綱吉の鳶色の瞳が軽く瞬き,「あら」とか「おや」とか言いたげに口が動き,リボーンの唇に封じられた.
「――,」
「――甘ぇな」
口を離しての第一声に,綱吉は眉を顰めた.
手探りでコーヒーカップを手に取って,口へ.綱吉には丁度良いその味を,口の中で転がした.
「もうすぐ取引相手が来るんだけど」
「そうだな」
「嫌?」
リボーンは嘆息した.深く,深く.目は足先を見ていたが,銃はずっとそのままだ.
「寝るのか」
まるで――年相応の子どもみたいに.
「その必要があればね.俺はドン・ボンゴレだもの」
リボーンの両眼が綱吉を見た.
黒い,肉食獣のようだった.
ボスからコーヒー混じりの吐息が漏れた.
半月の形をしたその口が,素早く動く.
「――冗談だよ」
カチン
引き金が引かれ,火花が散った.
それだけだった.
固まったボスに,鼻で笑って.
「冗談だ」
『ヤキモチ?ばかだなあ』
『そんなんじゃないんだよ,大丈夫』
頭に降ってくる優しい手に誤魔化されるほど,腐っちゃいない.
「…趣味悪」
「黙れダメツナ」
「痛っ!?」
俺とこいつの距離はいつも,この位で.
終
瑞希様リク,リボツナで、リボーンがやきもち焼くお話。リボーンは13~15歳くらい。でした.
相変わらず変な話ですみません.何かアフタの珈琲時間みたいですね(笑)でも結構気に入っていたり.
HTML化したらちょっと変えるかもです.
瑞希様,素敵なリクありがとうございました!
イタリア人は一日に五,六回バールを利用する.その度エスプレッソやらカプチーノやらコーヒーばかり飲んでいるのだが,量が少ないので驚くような話でもない.
ボンゴレ本部にはそんなバールがある筈もないので(ボスの一声があれば容易く作れるだろうが),給仕役に命じて仕事合間のコーヒーを楽しむのが皆の常だ.マフィアの幹部も下っ端も,それぞれが自分のコーヒーブレイクを満喫する.当然のように飲んでいる側の権力が強いほど,邪魔は御法度である.
無論,ボンゴレファミリー現ボスの邪魔を出来る程の権力者はこの空間にいない筈なのだ.
「休み時間なのに」
ため息を吐きながら砂糖を入れ,ミルクを注ぐ.ブラックが一番だと目の前の家庭教師に豪語されても,苦いものは苦い.眠気覚ましじゃないんだからと反論したのは,数日前だ.
スプーンでわざと音を立ててかき混ぜると,あからさまに嫌そうな顔をする子どもが可笑しかった.
「ごめん.冗談」
「ったく」
「だって」
涼やかな顔で笑ってみせて,綱吉はエスプレッソを口に運んだ.口と鼻に僅かな苦味が漂う.その邪魔にならないミルクと砂糖がやわらかな甘味で押し寄せる.
腕時計を見ると,そろそろ三時だ.
「もうすぐ取引相手が来るよ」
「あぁ」
綱吉は不思議そうに立ったままのリボーンを見上げた.座っていると少しだけ,彼の視線が上にある.
この間十四の誕生日を迎えた彼は,同年代の子どもと比べればやはり異質だが,所詮子どもである.まるい輪郭もひとつひとつが大きな顔のパーツも,隠しようがない.
体にぴったり纏った黒スーツは幼い肢体を露わにする.ツバの広い帽子も滑稽と言えば滑稽だ.
それでも彼は綱吉のただ一人の師で,殺し屋だった.
空気が唸った.静かに道を開けた様にも感じた.
額に突き付けられた銃口は,相変わらずよく磨き上げられている.執務室のあたたかなライトを浴びて黒光りした.
綱吉の鳶色の瞳が軽く瞬き,「あら」とか「おや」とか言いたげに口が動き,リボーンの唇に封じられた.
「――,」
「――甘ぇな」
口を離しての第一声に,綱吉は眉を顰めた.
手探りでコーヒーカップを手に取って,口へ.綱吉には丁度良いその味を,口の中で転がした.
「もうすぐ取引相手が来るんだけど」
「そうだな」
「嫌?」
リボーンは嘆息した.深く,深く.目は足先を見ていたが,銃はずっとそのままだ.
「寝るのか」
まるで――年相応の子どもみたいに.
「その必要があればね.俺はドン・ボンゴレだもの」
リボーンの両眼が綱吉を見た.
黒い,肉食獣のようだった.
ボスからコーヒー混じりの吐息が漏れた.
半月の形をしたその口が,素早く動く.
「――冗談だよ」
カチン
引き金が引かれ,火花が散った.
それだけだった.
固まったボスに,鼻で笑って.
「冗談だ」
『ヤキモチ?ばかだなあ』
『そんなんじゃないんだよ,大丈夫』
頭に降ってくる優しい手に誤魔化されるほど,腐っちゃいない.
「…趣味悪」
「黙れダメツナ」
「痛っ!?」
俺とこいつの距離はいつも,この位で.
終
瑞希様リク,リボツナで、リボーンがやきもち焼くお話。リボーンは13~15歳くらい。でした.
相変わらず変な話ですみません.何かアフタの珈琲時間みたいですね(笑)でも結構気に入っていたり.
HTML化したらちょっと変えるかもです.
瑞希様,素敵なリクありがとうございました!
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