どうしようもないネタメモブログ。
ツッコミ可。空月のツッコミ返し有。
原稿とかで忙しい時はこっちで更新してます。
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小さなツリーとほんのちょっぴりのごちそう.
それにケーキと君がいれば,クリスマスの準備は万端.
やるかな?と思ったら,案の定三橋がキラキラした瞳を向けてきた.
涎を出しそうなほどなのに忘れないんだから偉い.
栄口はすぅ,と息を吸い込んだ.
「うまそうっ」
「うっ,ん,うまそうっ…!」
取り分けた料理にさっそく箸を伸ばす三橋を見て,栄口は笑った.急がなくても二人以外には誰もいないから,料理を取られる心配はないだろうに.
どこかに出かけるという案もあった.けれど部活でアクティブなクリスマス祝いは既にしてしまっている.たまにはこういうのんびりまったりしたクリスマスもいいだろう.
俺の家で,と言い出したのはたぶん栄口だが,じゃあケーキを,と言ったのは三橋だった.俺ケーキ好きなんだ,ありがとう,と栄口が言うと,三橋がほんのり頬を染めて,とても可愛いかった.
部室でしばらく互いに顔を赤らめていると,横から軽く肘鉄を食らった.水谷だ.
『栄口~,分かってる?』
『え?何が?』
『三橋,誕生日の時のことちゃんと覚えてて言ったんだよ』
ね!と言われてしどろもどろになった三橋がそろそろと上目遣いで見つめてきて,栄口は真っ赤になった.
水谷はにこにこ笑って,さーてと俺は帰りますよーなんてわざとらしく言って,他にいた面々の背を押して出て行った.いや正しくは,出て行ってくれた.
そうやって用意されたケーキだったから,小さかろうがコンビニケーキだろうが二人にとっては大事なケーキだ.
高いものは無理だから,三橋はチョコレートケーキ,栄口はいちごのショートケーキ.こういう可愛らしいものは三橋にこそ似合いそうだったけれど,愛しい恋人はチョコ派だった.違う味も食べられるし,これはこれで高校生らしくて何かいい.
料理を食べながらほのぼの笑いあって,最後にケーキに取りかかる.
銀のフォークがクリームにスポンジに沈み,口に運ぶととろりと溶けた.
「んーうまいなー」
「そ,うだっ,ねっ」
にこっと無防備に笑う三橋はなかなか見れなくて,栄口も思わず笑顔になる.
三橋はますます幸せな気分になりながら視線を落としケーキを切り,持ち上げた.
「は,い」
栄口は差し出されたケーキを見て目をまるくする.多分食べていいということだろうが,こうやって無意識に可愛いことをするのは危なくないだろうか.
「さかえぐち,くん?」
ほらそうやって,きょとりと小首を傾げたりして.
――可愛いなぁ,もう….
彼氏としてはとても心配なのだけれど,ここは甘い蜜にありつくとした.
テーブル越しに向けられたケーキ一口へ,口を近づける.
「…うん,おいしい」
ぱあっと顔を輝かせた三橋に,栄口もお返しと切り分けたチョコレートケーキをフォークに刺して口元へ運んだ.
三橋は恥ずかしがる素振りもなく一瞬で平らげ,おいひ,い,ねえと笑う.
「こっち,のが…」
「うん?」
「こっちのが,おいしい,ね!」
ほっぺたに手をやって咀嚼する三橋に,チョコよりショートの方がおいしかったかと三橋語を解読した栄口は自分の皿を持ち上げた.
「じゃ,コレ三橋が食べなよ」
「うおっ!?」
でもとか,うわとか三橋が目を白黒させている間に皿を取り替える.
三橋はいいのかなと言わんばかりにオロオロしていたが,栄口に微笑まれて小さく頷いた.暖房が効き過ぎているのか顔が赤い.
フォークで白いクリームをすくい,舐める.
「……?」
少し考えてからスポンジを一緒に食べてみて,三橋はゆっくり首を傾げた.
おいしい,けれど.
――なんかちがう…?
さっき食べたのとは何か味が違う.さっきの方がおいしかった.
けれど替えてもらった手前,そんなことを言うのが失礼なのも分かる.
さっきほどでなくても充分おいしいことに変わりはないので,不思議だなぁと思いながら食べていると,ハッとした.
「あっ」
思わず声が出てしまう.もちろん栄口はキョトンとして三橋を見た.
「うん?どうかした?」
「あ,あの,ねっ」
穏やかな眼差しを向けられ,三橋は勢いよく言った.
「ケーキが,おいしかった,のはっ…さかえぐち,くんが,食べさせてく,くれたから,だねっ…!」
「…!」
ほわり,と心に明かりが灯ったかのような.かと思えば煌々と燃え始めて胸が破裂しそうな,そんな.
――天然だって分かってるけど,だけどさ…!
心から嬉しそうにそんな可愛いことを言うなんて,反則にも程があるだろう.
俯いてしまった栄口に,三橋はまた首を傾いだ.
「?栄口,くん?」
「う,やあ,うん…」
その赤い赤い顔は,三橋の皿の上転がった,いちごみたいだった.
終
空月はサカミハに甘いので,自然と栄口君はいい思いをします(笑)
HAPPY Xmas!!
(一応フリーです.お好きにどうぞ)
それにケーキと君がいれば,クリスマスの準備は万端.
やるかな?と思ったら,案の定三橋がキラキラした瞳を向けてきた.
涎を出しそうなほどなのに忘れないんだから偉い.
栄口はすぅ,と息を吸い込んだ.
「うまそうっ」
「うっ,ん,うまそうっ…!」
取り分けた料理にさっそく箸を伸ばす三橋を見て,栄口は笑った.急がなくても二人以外には誰もいないから,料理を取られる心配はないだろうに.
どこかに出かけるという案もあった.けれど部活でアクティブなクリスマス祝いは既にしてしまっている.たまにはこういうのんびりまったりしたクリスマスもいいだろう.
俺の家で,と言い出したのはたぶん栄口だが,じゃあケーキを,と言ったのは三橋だった.俺ケーキ好きなんだ,ありがとう,と栄口が言うと,三橋がほんのり頬を染めて,とても可愛いかった.
部室でしばらく互いに顔を赤らめていると,横から軽く肘鉄を食らった.水谷だ.
『栄口~,分かってる?』
『え?何が?』
『三橋,誕生日の時のことちゃんと覚えてて言ったんだよ』
ね!と言われてしどろもどろになった三橋がそろそろと上目遣いで見つめてきて,栄口は真っ赤になった.
水谷はにこにこ笑って,さーてと俺は帰りますよーなんてわざとらしく言って,他にいた面々の背を押して出て行った.いや正しくは,出て行ってくれた.
そうやって用意されたケーキだったから,小さかろうがコンビニケーキだろうが二人にとっては大事なケーキだ.
高いものは無理だから,三橋はチョコレートケーキ,栄口はいちごのショートケーキ.こういう可愛らしいものは三橋にこそ似合いそうだったけれど,愛しい恋人はチョコ派だった.違う味も食べられるし,これはこれで高校生らしくて何かいい.
料理を食べながらほのぼの笑いあって,最後にケーキに取りかかる.
銀のフォークがクリームにスポンジに沈み,口に運ぶととろりと溶けた.
「んーうまいなー」
「そ,うだっ,ねっ」
にこっと無防備に笑う三橋はなかなか見れなくて,栄口も思わず笑顔になる.
三橋はますます幸せな気分になりながら視線を落としケーキを切り,持ち上げた.
「は,い」
栄口は差し出されたケーキを見て目をまるくする.多分食べていいということだろうが,こうやって無意識に可愛いことをするのは危なくないだろうか.
「さかえぐち,くん?」
ほらそうやって,きょとりと小首を傾げたりして.
――可愛いなぁ,もう….
彼氏としてはとても心配なのだけれど,ここは甘い蜜にありつくとした.
テーブル越しに向けられたケーキ一口へ,口を近づける.
「…うん,おいしい」
ぱあっと顔を輝かせた三橋に,栄口もお返しと切り分けたチョコレートケーキをフォークに刺して口元へ運んだ.
三橋は恥ずかしがる素振りもなく一瞬で平らげ,おいひ,い,ねえと笑う.
「こっち,のが…」
「うん?」
「こっちのが,おいしい,ね!」
ほっぺたに手をやって咀嚼する三橋に,チョコよりショートの方がおいしかったかと三橋語を解読した栄口は自分の皿を持ち上げた.
「じゃ,コレ三橋が食べなよ」
「うおっ!?」
でもとか,うわとか三橋が目を白黒させている間に皿を取り替える.
三橋はいいのかなと言わんばかりにオロオロしていたが,栄口に微笑まれて小さく頷いた.暖房が効き過ぎているのか顔が赤い.
フォークで白いクリームをすくい,舐める.
「……?」
少し考えてからスポンジを一緒に食べてみて,三橋はゆっくり首を傾げた.
おいしい,けれど.
――なんかちがう…?
さっき食べたのとは何か味が違う.さっきの方がおいしかった.
けれど替えてもらった手前,そんなことを言うのが失礼なのも分かる.
さっきほどでなくても充分おいしいことに変わりはないので,不思議だなぁと思いながら食べていると,ハッとした.
「あっ」
思わず声が出てしまう.もちろん栄口はキョトンとして三橋を見た.
「うん?どうかした?」
「あ,あの,ねっ」
穏やかな眼差しを向けられ,三橋は勢いよく言った.
「ケーキが,おいしかった,のはっ…さかえぐち,くんが,食べさせてく,くれたから,だねっ…!」
「…!」
ほわり,と心に明かりが灯ったかのような.かと思えば煌々と燃え始めて胸が破裂しそうな,そんな.
――天然だって分かってるけど,だけどさ…!
心から嬉しそうにそんな可愛いことを言うなんて,反則にも程があるだろう.
俯いてしまった栄口に,三橋はまた首を傾いだ.
「?栄口,くん?」
「う,やあ,うん…」
その赤い赤い顔は,三橋の皿の上転がった,いちごみたいだった.
終
空月はサカミハに甘いので,自然と栄口君はいい思いをします(笑)
HAPPY Xmas!!
(一応フリーです.お好きにどうぞ)
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