どうしようもないネタメモブログ。
ツッコミ可。空月のツッコミ返し有。
原稿とかで忙しい時はこっちで更新してます。
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暖簾をくぐれば、あたたかな風。調味料と材料の旨みが混ざり合った、いいにおい。
「へい、らっしゃい!」
何にしやすか、という威勢の良い掛け声にシカマルはメニューを左端から途中まで見て、やめた。
「いーや、ミソで」
「はいよ!ミソ一丁!」
親方が麺を茹でながら、そういえば、と言った。
「最近ミソばっかりだなあ」
「え。そーっすか?」
前に来たのはいつだったか、と思案すると、返ってきたのは大きな笑い声。
きょとんとしたシカマルの前にできたミソラーメンを置く。
「ほらよ、おまちィ!」
「え、いや、そんな、待ってねえっすけど・・・」
「みんな、な」
カチャカチャと皿を片付けつつ。
「ミソばっかり頼みやがる」
「・・・・・・」
シカマルは黙ってラーメンを啜った。
親方の口角が上がった。口元に深いシワが刻まれる。老いた証にしては、誇らしげであった。
「そろそろ、帰ってくるからな」
「ぶっ!!?」
勢いよく麺を吹き出したシカマルに、親方は豪快に笑ってやった。
(おっちゃん、ミソ!オレミソね!)
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「ナルト。好きだよ」
「ぶはっ!?何言ってんだってばよ!オレにはサクラちゃんがいるっつーの!」
「ああ、そうだね。じゃあ二番目でいいよ」
「・・・・・・サスケも、いるけどもー」
「知ってる。なら三番目か。あれ、でもヤマト隊長もいるし・・・他にも好きな人いっぱいいるんだよね、ナルトは。さすが」
「・・・・・・・・・お前、それでいーのかってば」
「?」
「一番、ほしくねーのか?オレだったら、一番になりたいってばよ?」
「そうだけど・・・ナルト、だし」
「オレだしって何だってばよ!ワケわかんねーってば!」
「そう?それに、僕の一番がナルトなら、いいんだ。幸せ、なんだよ」
「!!う、うう・・・」
「?」
(お前が一番だって、言えなくなったじゃんか)
「好きよ」
キスとハグとぐっさり突き刺さる愛の言葉。
欲しいものは全部、与えてあげるわ。
「さ・・・ささささ、サクラちゃんっ!?」
真っ赤な顔としどろもどろの言葉。
欲しかったものは全部――ちがくても。
(被害は甚大ね、お互い)
貴方だけがいない世界。
言い換えれば、貴方以外が全て、何でも、必ず在る世界。
ああでも、何でだろ。
芽吹く季節が、こんなにも切ない。
(俺がお前に遺せたのは、弟を助ける術だけだったな)
「あっ」「あら」
「雨、ですね。テンテン」「そうね。リー」
「これでは修行ができないですよ!」「・・・今日は休みでしょ?たまには休むのも大事じゃない!」
「そうよね、ネジ!」
窓の外には風景をぼかして降る雨。勿論すぐに止んでほしいと思う。
けれど草木、動物、人間にとって必要なものだということもよく理解している。(昔はわかっていると思い込んでいたから、考えようとしなかった事)
じっと、閉じた目で雨の向こうを見た。
その先にある――
「そうだな」
雨が止んだら、帰ってくるかも。
リーとテンテンは、顔を見合わせた。
「ネジ、それは・・・」「都合良すぎない?」
「いいだろ?それでも」
口元に浮かぶ笑みに、二人は肩を竦めた。
いつだって、あたたかな彼を感じているから。
(帰ってきてくれ。晴の準備はお前のために、いつでも)