どうしようもないネタメモブログ。
ツッコミ可。空月のツッコミ返し有。
原稿とかで忙しい時はこっちで更新してます。
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「おかしいだろ」
彼女は言った。僕は、その言葉の意味を一瞬図りかねた。
けれどその手の中のバットを見ていたら、なんとなく、わかった。
彼女がバットを振るうこと。
彼女が土まみれで駆け回ること。
彼女が、“男でいる”、こと。
「おかしく、ないっすよ」
「おかしいって」
否定は非難じみた否定で返された。
僕はてっきり否定してほしかったのかと思っていたから内心驚いた。
確かにはじめは不純な動機だったかもしれない。でも、今彼女は確かに、自分のために野球をやっているんだ。
そのためにどれだけ努力してきたかを、一番近くで見ている僕は、知っている。
「おかしくないっす!猿野――くんが、今、頑張っているのはみんな知ってますから!」
「はは、何ムキになってんだよ」
彼女は普段通りくくっと、およそ女の子らしくなく笑って。
振りかえった。
「おかしいんだ。知ってるよ、それくらい」
「…ッ、さるの、くん――」
「おかしいって」
彼女は微笑んでいた。けれど瞳にはとても悲しい色が浮かんでいて。
「おかしいって、言って」
思わず引き寄せ抱きしめた身体の細さに、嬉しいような悲しいような気持ちが溢れ出して、僕は泣いていた。
彼女はそっと僕の頭を撫でて、
「ごめんな。でも、ありがとう。ネズッチュー」
そう、つぶやいた。
終
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ミスフルより、子津×猿野。
猿が女の子で男のフリ(でも黙認・周知の事実)で野球をやっているというパロ。子猿すきーv
でもこの猿もきっとはじめは凪さんのためなんだ。きっと…。
たまには自分を否定してほしい、なんて。弱くありたい、なんて。
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