どうしようもないネタメモブログ。
ツッコミ可。空月のツッコミ返し有。
原稿とかで忙しい時はこっちで更新してます。
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視界の端で力強いボールが唸りを上げた。
姿を見なくてもわかる。犬飼冥だ、と。
けれどいちいち確認してみせるのはなぜだろう。
もしかしたら、自戒のためかもしれない。
彼には、敵いっこないって、いう。
「子津っちゅー!」
「う、わ…!?」
後ろから飛びつかれて、子津は思わず前につんのめった。
けれど転ばずに済んだのは、もしかしたら一生懸命な彼に配慮をして、なのかもしれない。
声を聞いて、というよりもこんなことをするのは彼くらいだから、子津は苦笑しながら体制を立て直す。すぐに離れてしまった猿野のぬくもりを、名残惜しく思いながら。
「どーした子津!まだまだ修行が足りないぞ~?」
「ひどいっすよ猿野くん…」
「ひどくなーい!お前、なーに余所見してんだ~?」
顔をのぞきこんでくる猿野に思わず仰け反り、子津は肩を落とした。
「いや…犬飼くんには敵わないなあって、思ってたんすよ」
「ええ?お前、あんな犬ッコロも倒せねーの?いいか、あいつの弱点は偏食だ…まともな食事を与え続ければあるいは!」
「そうじゃ、なくて」
バカバカしい冗談にツッコまない子津に、猿野は瞬きをする。
そう。犬飼には敵わないのだ。
投球も。
この愛しい彼の心を、掴むことも。
「ふーん」
わかったのかそうじゃないのかよくわからない相槌を打って、猿野は犬飼を見やった。
「勝たなくてもいい」
「え?」
「つか、勝つな。勝つなよ、子津」
らしくない真剣な声が妙に耳にこびり付く。
茶色の瞳がしっかり犬飼の投球フォームをとらえ、そして子津に戻ってくる。
「お前はそのままでいろよ」
犬に勝てない、鼠のままで。
「そしたら、犬じゃなくて、お前を好きになってやるから」
猿野の茶色の瞳の奥に、
赤い色が、見えた気がした。
終
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ミスフルより、子津×猿野。やっぱり一番好きかも。
闇ってあんまり好きじゃないのにたまに書いてしまう。ネタにしやすいんだな、きっと。
それは愛情の裏返しなんすね。(キミは、いつまで気づかないでいるんすか?)
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