忍者ブログ
どうしようもないネタメモブログ。 ツッコミ可。空月のツッコミ返し有。 原稿とかで忙しい時はこっちで更新してます。
[52]  [51]  [50]  [49]  [48]  [47]  [46]  [45]  [44]  [43]  [42
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。




視界の端で力強いボールが唸りを上げた。
姿を見なくてもわかる。犬飼冥だ、と。
けれどいちいち確認してみせるのはなぜだろう。
もしかしたら、自戒のためかもしれない。

彼には、敵いっこないって、いう。


「子津っちゅー!」
「う、わ…!?」


後ろから飛びつかれて、子津は思わず前につんのめった。
けれど転ばずに済んだのは、もしかしたら一生懸命な彼に配慮をして、なのかもしれない。
声を聞いて、というよりもこんなことをするのは彼くらいだから、子津は苦笑しながら体制を立て直す。すぐに離れてしまった猿野のぬくもりを、名残惜しく思いながら。


「どーした子津!まだまだ修行が足りないぞ~?」
「ひどいっすよ猿野くん…」
「ひどくなーい!お前、なーに余所見してんだ~?」


顔をのぞきこんでくる猿野に思わず仰け反り、子津は肩を落とした。


「いや…犬飼くんには敵わないなあって、思ってたんすよ」
「ええ?お前、あんな犬ッコロも倒せねーの?いいか、あいつの弱点は偏食だ…まともな食事を与え続ければあるいは!」
「そうじゃ、なくて」


バカバカしい冗談にツッコまない子津に、猿野は瞬きをする。
そう。犬飼には敵わないのだ。
投球も。
この愛しい彼の心を、掴むことも。


「ふーん」


わかったのかそうじゃないのかよくわからない相槌を打って、猿野は犬飼を見やった。


「勝たなくてもいい」
「え?」
「つか、勝つな。勝つなよ、子津」


らしくない真剣な声が妙に耳にこびり付く。
茶色の瞳がしっかり犬飼の投球フォームをとらえ、そして子津に戻ってくる。


「お前はそのままでいろよ」


犬に勝てない、鼠のままで。



「そしたら、犬じゃなくて、お前を好きになってやるから」







猿野の茶色の瞳の奥に、


赤い色が、見えた気がした。








******************************************


ミスフルより、子津×猿野。やっぱり一番好きかも。
闇ってあんまり好きじゃないのにたまに書いてしまう。ネタにしやすいんだな、きっと。


それは愛情の裏返しなんすね。(キミは、いつまで気づかないでいるんすか?)



PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
忍者ブログ [PR]
/Material By= /Template by ぴのん